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2026.08.07(金)

【福祉住環境コーディネーターが考える資金術】自己資金(貯金)はすべて頭金に入れるべき? 金利上昇期に知っておくべき「残す現金」の決定打

スタッフブログ

コタエルハウス福祉住環境コーディネーターの野口です。今回のテーマは、「金利上昇時代における、団信(団体信用生命保険)と繰り上げ返済の正しい付き合い方」です。最近、ニュースでも「日銀の利上げ」や「住宅ローン金利の上昇」が頻繁に取り上げられるようになりました。「金利も上がってきたし、できるだけ頭金を多く入れて借入額を減らしたい」 「貯金はすべて頭金に回して、毎月の返済額をできるだけ安く抑えるのが賢い方法だよね?」家づくりのご相談をお受けする中で、このように考えていらっしゃるお客様は非常に多いです。確かに、金利上昇期において借入額を減らすのは経済的な利点があります。ファイナンシャルプランナー(FP)の視点で見ても、「支払う利息を減らす」という意味では正解に見えます。しかし、福祉住環境コーディネーター(FHC)の視点で見ると、自己資金を限界まで頭金に使い果たすことには大きな「リスク」が存在します。今回は、金利上昇時代だからこそ知っておきたい、「頭金と手元に残すべき現金のバランス」についてプロの視点から解説します。

今回は、金利上昇期にこそ知っておくべき「賢い住宅ローン・リスク管理術」をお伝えします。

「頭金を入れすぎる」ことで生じる2つの大リスク

金利が上がると「借金を増やしたくない」という心理が働きがちですが、手元の現金を頭金として使い切ってしまうと、入居後に以下のような深刻なリスクが発生します。

リスク①:万が一の際、「自宅のバリアフリー改修」ができなくなる

人生には、予期せぬ病気やケガ、事故などのリスクが常に伴います。 もしご家族やご自身が脳血管疾患やケガなどで身体に不自由が生じた場合、病院から自宅へ戻るためには急遽リフォーム(バリアフリー改修)が必要になります。

  • 車椅子で入れるようにトイレや浴室を拡張する
  • 玄関にスロープを設置し、室内ドアを引き戸に変える

こうした突然の改修には、数百万円単位の「即金(現金)」が必要になります。

頭金で貯金を使い果たしてしまうと、「家は完成したけれど手元に現金がないため、自宅をバリアフリー化できず、退院しても我が家に帰れない…」という本末転倒な事態になりかねません。

リスク②:団信という「最強の保険」の価値を活用しきれない

住宅ローンを組む際には、基本的に「団体信用生命保険(団信)」に加入します。 最近の団信は進化しており、死亡時だけでなく「がん」「脳卒中」「心筋梗塞」などの重度疾病や「要介護状態」になった際、ローン残高が「0円」になる手厚い保障が付帯しています。※金融機関,商品により異なります

例えば、貯金を1,000万円持っていて、それをすべて頭金に使ったとします。 もし入居後にがんと診断されたり、要介護状態になったりした場合、頭金に使った1,000万円は戻ってきません。

しかし、「頭金を入れずに手元に1,000万円を残し、ローンを多く借りていた」としたらどうでしょうか? 団信の保障によってローン残高は0円になり、手元には1,000万円の現金がそのまま残ります。つまり、団信は「超低コストで入れる家族と住まいを守る保険」でもあるのです。

福祉住環境コーディネーターがおすすめする「頭金と残し金」の基準

では、自己資金のうち「いくら頭金に入れて、いくら手元に残すか」の判断基準はどう考えれば良いのでしょうか?

1. 「生活防衛資金+将来のリフォーム現金」は絶対に残す

手元に残すべき現金(手元資金)の目安は以下の合計額です。

  • 生活防衛資金: 毎月の生活費の6ヶ月〜1年分(万が一の無職・減収に備える)
  • バリアフリー・医療準備金: 200万〜300万円(万が一のバリアフリー改修や急な医療費)

これらを引いたあとに「残ったお金」を初めて「頭金」として検討するのが、リスクに強い資金計画です。

2. 金利負担が心配なら「固定金利」や「補助金の活用」でカバーする

「頭金を減らして借入額が増えると、毎月の返済や金利上昇が不安…」という方は、頭金で解決しようとするのではなく、全期間固定金利を選んで毎月の返済額を確定させたり、国の省エネ補助金(子育てエコホーム等)を最大限活用して建築費用自体を抑えるアプローチが有効です。

まとめ:現金は「人生のバッファー(ゆとり)」

家づくりの資金計画において、最も大切なのは「いくら頭金を出せるか」ではありません。「入居したあとに、手元にどれだけの安心(現金)を残せるか」です。

さらに、ローンをあえて活用して手元に現金を残すことには、もうひとつ大きな金利・税金面でのメリットがあります。それが「住宅ローン減税(住宅ローン控除)」です。

年末のローン残高に応じて税金(所得税・住民税)が控除されるこの制度を賢く使えば、「節税メリットをしっかり受け取りつつ、手元には万が一のバリアフリー改修や医療費に使える現金を残せる」という、非常に理にかなった資金戦略が成り立ちます。

  • 手元の現金: 予期せぬ医療費やバリアフリー改修費として「日々の暮らしを守る」
  • 住宅ローン&団信: 住宅ローン減税で税負担を減らしつつ、「家を守る保障」と「手元資金のゆとり」を買う

自己資金をすべて頭金に注ぎ込むのではなく、住宅ローン減税や団信のメリットを最大限に活かした「賢い手元資金の残し方」を意識してみてくださいね。金利や減税など時期や条件によって変わりますので是非ご相談ください!